阿波屋清重(栗東)

しがまにあスタッフ

2008年10月07日 20:00

滋賀には長く暖簾を守り続ける老舗がたくさんあります。
なかでも栗東にある「御菓子司 阿波屋清重」は、ちょっと変わり種。



名前の通り、もとは四国阿波(現在の徳島県)の出身なのですが、
近江辻村に移ってきたのは、なんと遡ること300年以上の昔!
江戸時代の寛永年間(1624~1644年)のことなんだとか。

また当時の家業は和菓子屋だったのではなく、屋根瓦の職人。



そのころ辻村が鋳物産業の中心地であり、
全国の鋳物師が行き来していた関係で
この地へ越してきたのではないかといわれているそうです。


和菓子をつくるようになったのは文化年間(1804~1818年)ごろ。
それだけでも実に200年近い歴史を誇っているわけで、
現在は七代目・八代目が親子二人で暖簾を守っています。


長い歴史の礎をつくったのは初代・清兵衛。
彼が苦心の末にあみだしたのが、栗東名物「善光寺ういろ」。


10個入り700円


上質の黒糖が使われていて、ぷるりとした歯ごたえと、
とろけるような甘さのなかに香ばしさが漂う一品です。




栗東の善光寺といえば、源平の乱の後、おちのびてきた平宗定が
平家一門の菩提を弔おうと、信濃善光寺からゆかりの仏像をさずかり受けて建立した寺。

江戸のころには「善光寺はういろ・ういろは彼岸」と、お参りの名物に
ういろがもてはやされるようになり、なかでも同店の味は評判を読んだのだとか。
家伝の製法に従い、いまも七代目が当時のままに手作りしています。

店が代を重ねてきたように、代々この味に親しんできた人は数多く
遠くに移り住んでも、これだけを買い求めに足を運ぶ人もあるほど。


滋味を織り込んだ「栗ういろ」「芋ういろ」(各115円)も女性好み。




また、まちの歴史を伝えるお菓子といえば、こちらの「天下一よじろう」。




実は、こんなに大きいんです!!


この鋳物の里でも、とくに天下一の名工といわれ、
安土桃山時代、千利休のおかかえ釜師となって名を馳せた辻輿次郎

彼が手掛けた『霰百会釜』をかたどった焼饅頭は一つ800円で食べ応えあり。

釜の表面の打ち出しを模した饅頭皮は
香ばしく、しかもしっとりやさしい風味。

二層になった餡は比較的甘さを抑えてあり、
ひと口、あともうひと口、と食べてしまうおいしさ。

集まりの席の話題の種として手土産にし、
みんなで切り分けていただくのもいいですね。










ほかにも栗東土産に最適な御菓子がそろいます。




いちばん人気の「栗東夢街道」は130円。なかには柔らかな生地のなかに粒あんが入っています。



パリッとした最中の皮とやわらかな餡が絶妙の「栗東太鼓」は100円。
「栗太っ子」は、その名の通り、なかに大粒の栗が入っています(160円)。



ほかにも季節にあわせた生菓子や、贈答用の詰め合わせ、
お祝いの赤飯や紅白まんじゅう、はらこもちなどを作ってもらえるのも昔ながら。



お茶のひとときに、ほっこりした甘さと
このまちならではの歴史を伝えてくれる菓匠です。





※情報は2008年10月現在。詳しくは直接お問い合わせください。





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御菓子司 阿波屋清重
★住所  栗東市辻636
★電話  077―551―4855
★営業  9:00~19:00
★定休  火曜 ※祝日の場合は営業
★地図  地図はこちら


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