おみやげ・甘味処 うえだ

しがまにあスタッフ

2010年09月09日 20:00

先日のひと雨で、少し暑さが和らいだでしょうか。

今回は、本格的な行楽シーズンを前に、初秋の坂本を訪ねました。


おじゃましたのは、京阪坂本駅すぐにあるおみやげ・甘味処「うえだ」。



手作りの温かさと坂本ならではの味に出あえる、知る人ぞ知るお店です。



駅を出ると、山から流れるせせらぎの音が響く坂本のまち。



「穴太(あのう)積み」として有名な石積みのまちとしても知られています。



山手に見えるのは日吉大社の鳥居。



日吉さんと、比叡山延暦寺のお膝元で、山の緑がとっても心地いい!




石垣の連なる通りに見えるのは「甘味処」の看板。



『ジャンボおはぎあります』なんて、心ひかれますね~。




お店の横にあるのは、伝教大師最澄が中国から伝えた
日本最古の茶園といわれる「日吉茶園」。



このお店を“知る人ぞ知る”と称する所以は、この「夏みかんゼリー」。


※夏みかんゼリーは持ち帰りのみです。


日吉茶園の間の路地を入ったところには
大きな夏みかんの木が伝わっていて、その実を使ったものなんです。



もとは奥様がご自分の子供たちのために「おやつ」として作っていたもので
もちろん無添加。

「店に飾りとして置いていたところ、分けてほしいと言ってくださる方がいて。
 そのうち遠方からわざわざ訪ねてくださる人もあって
 毎年お店に出すようになりました」とのこと。

5月下旬から盆あたりまでは「夏みかん」をまるごと使ったゼリーが
期間限定で作られていて、10個、20個と取り寄せる人もあるほど。




最近はスーパーなどでも、みかんといえば「甘夏」が並ぶことのほうが多いのですが、
「夏みかん」ならではのさっぱりした甘さがゼリーを独特の風味に仕上げていて
口のなかで広がる爽やかさは、どこか懐かしい味。

毎年こころ待ちにする人があるのもうなずけます。


カップ入りは3個300円で、こちらは通年販売されています。




実はこのお店、もとはおもちゃ屋さん。
駅前ということもあり、地元の観光協会からの依頼でお土産を置くようになり
家に伝わる味などをふるまううちに甘味屋さんの看板を掲げるようになったのだとか。

「戦後は私の母が回転焼やかき氷で茶店のようなこともやっていて
 そのときの“餡”のレシピもありましたので。
 おもちゃやが“おもちや”になったんです(笑)」とご主人。



その甘味の代表格ともいえるのが「黒糖わらび餅」。



ご主人と奥様で、いろんな味を食べ歩いて辿りついた味。

これがまた、ほかにない食感なんです。



お箸で持っただけですぐわかるはず。

とろりと柔らかく、口にいれると見る見るとろけて甘さが広がります。
本わらびだけを使い、自家製の上質な黒みつを練り込んでいるからならでは。


ここのわらび餅を楽しみに、坂本まで足を運ぶ人もあり
男性ファンも多いそう。


お茶とセットで400円。持ち帰り用はこの倍ほどの量が入って420円。



本わらびしか使っていないので、かたくなりにくく
冷蔵庫に入れても、食感はほとんど変わりませんでした。
冷やしていただくとまた格別ですよ!



そして、わらび餅に添えられていた「口がわり」。
これがまた隠れた人気の味なんです。



「葉山椒」は、この店のもう一つの名物。

普通、山椒の佃煮いえば山椒の「実」を使いますが
坂本では古くから「葉」と昆布を合わせて炊くんだそうです。

5月ともなると、家々から山椒を炊くいい香りがただよってくるんですよ、
とご主人が教えてくださいました。



おばあさまから奥様へと伝わった味に、地域の味自慢の奥様方から
伝授してもらったレシピを加えて仕上げた逸品です。




また、坂本に伝わる秋の味「菊なます」も、こちらで味わえます。



10月下旬から収穫される菊の花びらを漬けこんだもので
11月には「菊寿司定食」としていただくこともできるそう。


このほか、湖魚を使った佃煮や、ジャンボおはぎなど、
どれもご主人と奥様が吟味を重ねた味。



暑さがまだまだ続くいまは「かき氷」も人気で
アイス、寒天、あずき、白玉の上に、ふわっとした氷をかけた
「ぜいたく氷」は、黒蜜などももちろん自家製。おすすめです!



店内にはご主人お手製のテーブルもならび、
ほっとひといきするのにぴったり。

ご主人の洒脱なお話ぶりと、奥様の気さくな人柄。
ご夫妻との会話も楽しくて、つい長居してしまいます。



ユリが飾られていた花器は、聞けば、うえださん宅に伝わる
味噌樽だったものだとか。



坂本のお土産もずらりと並びます。
駅に近いので観光の帰りに立ち寄るにはぴったり。



夏みかんの皮を使った「香夏みかん」もありました。



もちろん奥様の手作り!






来週は坂本の歴史を色濃く伝える「公人屋敷」をご紹介します。

散策にぜひ出かけてみてください。






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おみやげ・甘味処 うえだ

★住所   大津市坂本3-10‐30
★電話   077-578-0382
★地図   地図はこちら   


※情報は2010年8月現在。詳しくは直接お問い合わせください。



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