銘酒七本鎗(七本槍)と北大路魯山人ゆかりの老舗:冨田酒造

しがまにあスタッフ

2011年03月17日 20:00

大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」、いよいよ賤ケ岳の合戦ですね!

そんな賤ケ岳の合戦にちなんだ銘酒が
約450年の昔からここ湖北にあるのを、みなさまはご存知でしょうか?

その名も、銘酒・七本鎗」 と 「七本槍」。

大河ドラマの主人公・江にとっては残念ながら敵方の英雄となる、
豊臣方の七人の武将たち「七本槍」にちなんだお酒です。
今日はそんな銘酒を造り続ける湖北の蔵元さんをご紹介しますね!

<冨田酒造>

夏の大縁日のお地蔵さまで有名な、北国街道・木之本宿。
そんな風情の残る街並みに、重厚な店先の構えと杉玉を添える、湖北の小さな蔵元。
それが、冨田酒造さんです。



「七本槍」の「槍」の字に「鎗」という字を使用した扁額(へんがく)は、
冨田酒造に逗留した北大路魯山人の篆刻を使用したものなのだとか。
お酒のラベルにも使われています。

「鎗(やり)」は「槍(やり)」のように武器の意味で用いられることもあるそうですが、
「長鎗」というと米の別名で、
「鎗」だけで「酒を入れる器」という意味もあるそうです…奥が深い!



軒に下げられたまだ青味の色が残る杉玉は、
まだ絞りたての新酒がいただける時期であることの印なのだとか。
張り紙にも、「新酒」の文字がありました。

↓ずらりと銘酒の数々が並べられた、趣のある店内。



湖北や日本酒について掲載されたリーフレットや雑誌も数多く置かれた
まるでサロンのような空間もあり、ここでお店の方におススメのお酒を相談しながら
戦国ロマンに夢を馳せ、
湖北観光について、地元ならではの新たな情報収集してみるのもいいかもしれません♪



「七本槍」と「七本鎗」だけで
↓こんなにたくさんの日本酒の種類があるのだなんて、びっくり…!



「季節の料理を楽しむように、季節の日本酒を楽しんで欲しい」

そうおっしゃる15代目蔵元冨田泰伸さん。
だから、それぞれの季節や処理の仕方等、様々な条件によって味の異なる
「七本鎗」・「七本槍」の種類が、こんなにたくさんあるのだとか。


例えば冬からこの3月終わり頃まで、
今のこの時期。
秋に取れた新米を冬に仕込んで絞る
「絞りたて」の新酒は、
この時期にだけ飲むことが出来る
熱処理をしていない
とてもフレッシュな日本酒なのだとか。 
 
そのフレッシュな「絞りたて」の中でも
←のような「純米酒」の「生原酒」や、

「純米吟醸」の「生原酒」に、更には「生原酒中取り」。 
「中取り」というのは、日本酒を絞り始めと絞り終わりの途中の真ん中部分を取った、
日本酒の中で最も美味しいとされる部分なのだそうです。

↓「純米吟醸中取り生貯蔵原酒」とまで言われるに至っては、なんだかもうとにかく


凄そう美味しそう、きっと
貴重なお酒なんだろうという、
瓶のラベルから
ビシビシと伝わってくる
日本酒オーラにすっかり
気おされてしまいました。

また、地元湖北の
長浜農業高校の生徒さんが
実習で絞った
 
「長農高育ち」という地域密着ブランドもあったり…なんだかほっこりしちゃいますよね♪
 

 
因みに←こちらは、
本数限定の純米酒、活性にごり酒。

にごり酒なので
下に白い成分が溜まっていますが、
↓のように瓶には大きく
「振らずに開栓願います」との文字が。 
 
 
 


その方が、このにごり酒の美味しさを心ゆくまで味わえるのだそうです。

勿論、1年を通じて販売されているお酒も種々取り揃えられています。
今の季節にはどのお酒がいいか、ソムリエに食事に合うワインを尋ねるように、蔵元のお店で
季節にあった日本酒を尋ねてみるのも、楽しいかもしれません…♪



そういった新年から春にかけてフレッシュな新酒を飲む「絞りたて」の他に、
秋にじっくり熟成させて落ち着いた味わいを楽しむ「冷やおろし」という秋の日本酒の解禁日も、
毎年10月1日にあるそうです。
まるで、ワインのボジョレ・ヌーボーみたいですね!

どれもこれも、日本酒好きな方にはたまらないラインナップなのかもしれません~
 

こういったお酒の種類や味を決める
数々の要素のひとつに、
お米の種類や
お米をどこまで「磨く」か、
といったことがあるそうなのですが。
ここ、冨田酒造さんの「七本鎗」では、
そういううお米へのこだわりも
見逃せないポイントのひとつなのだとか。 

もちろん使うお米は地元湖北で取れた、江州米。
全国的に美味しいお米で有名な滋賀県の中でも、ことに美味しいといわれる湖北のお米です。
そのお米を削るように「磨いて」残ったものを、お酒の仕込みに使うのだそうです。



↑こちらが、お店で紹介されていた、その「磨き」ぬかれたお米たち。
左から「玉栄」のお米を80%残して磨いたもの、65%残して磨いたもの、45%残して磨いた
もの…って、半分以上削っちゃってるの?(汗)


 
←こちらなんて、「山田錦」のお米40%てことは、
お米を60%も磨いて削っちゃってます。

なんて贅沢なお米の使い方なんでしょう…!
 

 
そんな贅沢なお米の使い方をして、とっておきの贅沢な作り方をした日本酒の中に、ひとつ。
ふと「七本鎗」以外の銘柄なお酒を見つけました。

この湖北地方出身の有名な戦国武将の名にちなんだ、智将・「石田三成」。
普通、日本酒のアルコール度数は15度台なのだそうですが、このお酒は18度台。



「戦国武将のように ガツンとくる力強いお酒になっています」とは、15代蔵元冨田泰伸さんの
お言葉。 確かに、濃厚なお酒の強さがガツンときます!
  
また、こちらではお酒を楽しむための数々のオリジナル製品をもプロデュース。
店頭で販売されていました。



手工芸を推奨する滋賀県東近江市の工芸作家さん達のアトリエ工房の村「ことうヘムスロイド村」
の作家さんによる、日本酒の空瓶・リサイクル作品。
全て1点ものの、作家作品なグラスや箸置きです。


緑色のものが、シリーズ第1弾。
今並んでいる薄淡いブルーの
グラスが第2弾なのですが、
人気のこれらシリーズは
もう品薄で、
次回シリーズ第3弾は
←この種の瓶から製作されるので

今度は薄褐色なシリーズになる予定、とのこと。
シリーズをコレクションしていくのも楽しいかもしれませんね♪



滋賀県湖西地域は近江今津で作られている伝統の和ろうそくに、
こちらもここのお店さんのオリジナルな酒杯、「馬上杯」。


馬上杯とは、こんな風に馬上の武将が
馬に乗ったままお酒を飲みやすいように
高杯の部分を高く握りやすく作られた、
日本酒用の酒器なのだそうです。
こちらにお米を納めている田んぼの
泥土を使って、京都の酒器製作専門店の
作家さんが作ってくれている、
これまた1点ものの作家さんものな酒器なのだとか。 
 
  
大河ドラマを見ながら馬上杯でいただく七本鎗……たっぷり戦国ロマンに浸れそうです



また、忘れてはならないのがこちらの酒蔵さんで作られている酒粕と、酒こうじ。
酒粕には、新しい機械で絞られたいわゆる現代風の酒粕と、昔ながらの方法で絞られた
ちょっとやわらかな吟醸酒粕の2種類がありました。


そしてこちらは、40%まで削ったお米を使用した
大吟醸から出来た酒粕。
まるで濃厚な生チーズか濃厚な生ヨーグルトクリーム
のような芳醇さで、
この酒粕から酵母をおこして自家製パンを焼いたりする
常連さんもいらっしゃるとのこと。
 

お菓子作りの際にそのままチーズやヨーグルトの替わりにこの酒粕を使って、
大人風味のデザート作りに愛用される方もいらっしゃるそうです。



確かに、ブルーチーズのような
まろやかに強い風味が、好きな方にはくせになる濃厚さかもしれません~!
 
「七本鎗」ブランドな格好の良い前掛けエプロンや手ぬぐいにストラップ等のグッズも揃っていて、
湖北・北国街道の宿場町・木之本の観光おみやげにもぴったり♪



このしぶ~いストラップなんて、
いま話題の歴女の皆さんでなくともちょっと欲しくなっちゃいます…?(笑)



古い大福帳や、地元長浜では豊臣秀吉の故事にもゆかりのあるひょうたん。



木造商家の壁に掲げられた数々の賞状や
古い大きな角樽に老舗の風格と安心感をも感じてしまうのは、気のせいでしょうか…。
 

  
 
もちろん、お土産やご進物用、
お取り寄せ用の
パッケージセットにも、
ぬかりはありません!
 

 
 
 
↓赤地に銀の琵琶湖の七本鎗。



こちらの細身な黒パッケージにグラスのセットなんてシックに小洒落てて、
いわゆる歴女をはじめとする日本酒好きな女性にプレゼントしても喜ばれそう…?


大吟醸の斗瓶も、
なんだかレトロモダンでいいカンジ♪

手工芸で有名な湖東のヘムスロイド村や
ガラスで有名な長浜の黒壁を近くに
携える、
滋賀県は湖北ならではの
元気な老舗さんだからでしょうか。
伝統とモダンがほどよく交わった、
センスの良さが感じられますよね。 
 
お酒を飲み終わった後も、ちょっと何か雑貨に使えそうかも…?
なんて、つい(笑)



手土産に重いものはちょっと…といった方や日本酒はまだまだ初心者で…
といった方には、こちらのセットをお求めになってみるのも、いいかもしれません。


 
「七本槍」と呼ばれた
七人の武将たちの名前と
賤ケ岳の合戦絵図や故事が
印刷されたパッケージは、
お土産にもぴったり! 
 
 
2本の日本酒の色や風味、舌触りやのどごしの違いを楽しめます♪ 
 
…うだつの街並みと風情を残す、近畿の雪国・北国街道木之本宿で。



約450年以上もの間、ひっそりとひたむきに、ただただ「地酒を造る者として」、
湖北の霊峰・伊吹山に連なる奥伊吹山系の伏流水と地元湖北のお米に、対峙して。


「酒で疲れを癒し
 酒で楽しみ
 酒で喜び
 酒で祝い
 酒で出会い
 酒で広がり
 酒でたまに泣くけど
 酒っていいもんです

 酒でいろんな縁を・・・
 
 
 そんな日本酒を造れたら これ幸い」 (冨田酒造さん公式サイト内公式ブログより)




「地酒を造る者として、 
 その土地らしさをボトルに詰め込んで 滋賀の北端から発信したいと思っています。」
「フランスには、小規模だけど世界を相手にワインを作っている有名なワイナリーがある。
 日本酒における、そんな存在になれたら。」

ゆっくりと、
でもきらきらと輝く瞳でしっかりと地に足の着いた未来の夢を語る、若い15代目蔵元さんの
言葉が数多く印象に残った、そんな湖北の蔵元さんでした。




(情報は2011年3月現在。詳しくはお問い合わせ下さい。)





*************************************
冨田酒造(冨田酒造有限会社)

■所在地    〒529-0425 滋賀県長浜市木之本町木之本1107
□TEL      0749-82-2013
■FAX      0749-82-5507
□営業時間   9:00~18:00
■定休日    火曜日

□HP     http://www.7yari.co.jp/
■地 図    地図はこちら



**********************************


 


関連記事